はじめに
「なんだか最近、朝からやる気が出ない…」「体がだるくて起きられない」「憂うつな気分が続いている」
そんなふうに感じていませんか?
5月の連休明けから6月にかけて、多くの人が心身の不調を訴える時期です。
この時期特有の不調は俗に「6月病」とも呼ばれ、梅雨入りによる気象の変化や、生活リズムの乱れが大きな影響を与えています。
✔ 自律神経のバランスが崩れる
✔ 気分が落ち込みやすくなる
✔ 睡眠の質が低下する
✔ 食欲や消化機能が乱れる
これらの症状が複合的に現れるのが6月病の特徴。
そして意外なことに、食事の工夫でこの“心と体のブレ”をかなり軽減できるのです。
この記事では、管理栄養士や精神科医の知見も取り入れながら、6月病を和らげる食事術を詳しく解説します。
第1章|6月病とは?症状と原因
■ 6月病って医学用語?
まず前提として、「6月病」というのは正式な医学用語ではありません。
しかし近年、メディアでもよく取り上げられる言葉になっています。
主に以下のような症状が特徴です:
- 朝起きるのがつらい
- 体がだるい、重い
- 気分が落ち込みがち
- 集中力が続かない
- 食欲不振または過食
- 寝ても疲れが取れない
- 頭痛・肩こり・めまい
- イライラや不安感
■ 6月病の原因とは?
【1】気象ストレス
梅雨入りによって気圧が低下し、湿度が上がります。
この急激な変化は、自律神経に大きなストレスをかけます。
自律神経は、体温・血圧・内臓の働き・ホルモン分泌などを調整しているため、ここが乱れるとさまざまな不調が現れやすくなるのです。
【2】日照不足
6月は曇りや雨の日が続きやすい季節。
日光を浴びる時間が減ることでセロトニン(“幸せホルモン”とも呼ばれる神経伝達物質)の分泌が低下し、
気分の落ち込みが起こりやすくなります。
【3】新生活疲れの蓄積
4月からの新年度で環境が変わった人も多く、5〜6月頃にはその疲れが表面化してきます。
新たな人間関係・仕事・生活スタイルのストレスが自律神経やホルモンのバランスに影響を与えるのです。
【4】睡眠の質低下
気温と湿度の上昇により、寝苦しくなり睡眠の質が悪化します。
結果的に疲労が回復しにくい悪循環が生まれます。
【5】腸内環境の乱れ
ストレスや食事の乱れが腸に影響し、腸内環境が悪化します。
実は腸と脳は「腸脳相関」といって密接につながっており、腸の不調がメンタル不調につながることも。
第2章|なぜ食事が効くのか?
■ 腸と脳はつながっている
腸内環境がメンタルに影響することは科学的に証明されています。
腸内細菌は**神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)**の産生や代謝に関わっています。
約90%のセロトニンは腸で作られているとも言われ、腸の健康が心の安定に直結しているのです。
■ 血糖値の安定が気分を安定させる
急激な血糖値の上昇・下降は、イライラや疲労感を引き起こします。
低GI食品や食物繊維の多い食品で血糖値を安定させることが、気分の安定に役立ちます。
■ 栄養素が神経伝達物質の材料になる
気分やストレス耐性に関わるセロトニン・ドーパミン・GABAなどの神経伝達物質は、
タンパク質やビタミン・ミネラルを材料にして合成されます。
食事から適切な栄養をとることで、メンタルの土台作りができるのです。
第3章|6月病におすすめの栄養素と食材
1)トリプトファン(セロトニン材料)
→ 大豆製品、卵、乳製品、バナナ、魚
効果:気分の安定・不眠改善
ポイント:朝食でとると効果的(セロトニン活性が促進)
2)ビタミンB群(神経の働きをサポート)
→ 豚肉、納豆、緑黄色野菜、玄米、きのこ
効果:ストレス耐性アップ、疲労回復
ポイント:特にB1・B6・B12を意識する
3)鉄分(貧血予防・脳の酸素供給)
→ 赤身肉、レバー、魚介類、ひじき、大豆製品
効果:脳の活性化・エネルギー代謝向上
ポイント:ビタミンCと一緒にとると吸収UP
4)オメガ3脂肪酸(脳の炎症抑制・気分安定)
→ 青魚(サバ缶、イワシ、サンマ)、亜麻仁油、エゴマ油
効果:抗うつ作用、炎症抑制
ポイント:1日1食は青魚 or 良質なオイルを使う
5)マグネシウム(リラックス効果)
→ ナッツ類、海藻、豆腐、全粒穀物
効果:筋肉の緊張緩和、神経の興奮抑制
ポイント:不足しやすいため意識的にとる
6)食物繊維と発酵食品(腸内環境改善)
→ もち麦、オートミール、ヨーグルト、キムチ、ぬか漬け
効果:腸内フローラの多様性アップ、便通改善
ポイント:毎食に少しずつ取り入れる
第4章|避けたい食事・習慣
- 糖質過多(菓子パン・スイーツ) → 血糖値の乱高下 → イライラ
- カフェイン過剰(コーヒー・エナジードリンク) → 自律神経過緊張
- アルコール → 睡眠の質低下
- ジャンクフード・加工食品 → 栄養不足になる
これらはできるだけ控えめに。
第5章|6月病に効く!おすすめの食事例
■ 朝食例
- 納豆卵かけご飯+味噌汁+ヨーグルト+バナナ
→ セロトニンの材料+腸活+血糖値安定
■ 昼食例
- 豚しゃぶサラダ+もち麦入りごはん+青魚の缶詰
→ ビタミンB群+オメガ3+食物繊維
■ 夕食例
- サバ缶と野菜の煮物+ひじきご飯+ぬか漬け+豆腐の味噌汁
→ 鉄分+発酵食品+マグネシウム
■ 間食例
- バナナ+ナッツ類(クルミ・アーモンド)
→ 血糖値安定+セロトニン合成サポート
第6章|+α 習慣でさらに効果アップ
■ 朝散歩でセロトニン活性
朝日を浴びるとセロトニン分泌が促進。
1日15分の散歩でOK。
■ 軽い運動・ストレッチ
血流が改善し、自律神経のバランスが整う。
■ 入浴でリラックス
38〜40度のお湯にゆっくり浸かると副交感神経が優位になり、心身が整う。
■ 睡眠のリズムを整える
就寝・起床時間を固定し、メラトニン分泌を促す。
おわりに
6月病は「気のせい」ではありません。
気象の変化や生活リズムの乱れが、心身に大きな影響を与えるのです。
しかし、だからこそ毎日の食事でセルフケアができる余地は大きいとも言えます。
「心と体は食べたもので作られる」
この言葉を意識しながら、6月の食卓を整えてみませんか?
梅雨の季節も、元気に乗り切りましょう!

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