はじめに|命を削る「猛暑日」が当たり前の時代に
日本の夏が「危険な季節」に変わったことを、私たちはもう何度も経験しています。
35℃以上の猛暑日が毎年当たり前に訪れ、熱中症による搬送者は1週間で1万人を超えることも。
以前のように「夏は汗をかいてこそ」「冷房は体に悪い」「水はのどが渇いてから飲めばいい」といった常識は、いまや命取りになる可能性があります。
本記事では、特に35℃を超えるような猛暑日にこそ注意すべき、「やってはいけない健康習慣」を10個厳選。
科学的根拠や医師の見解、気象庁や厚労省の情報などをもとに、なぜそれがNGなのか・代わりにどうすべきかもセットでわかりやすく解説します。
第1章|35℃超えの“暑さ”が体にもたらす影響とは?
■ 熱中症とは何か?
熱中症とは、体温調節がうまくできなくなり、体に熱がこもってしまう状態の総称です。
軽度では「めまい・立ちくらみ・こむら返り」から、重度になると「意識障害・多臓器不全」など命の危機に至ります。
35℃を超えると汗をかいても体温が下がらず、汗とともに塩分も大量に失われるため、危険度が格段に増します。
■ 脱水のメカニズム
私たちの体は、わずか体重の2%の水分が失われるだけでもパフォーマンスが低下します。
暑い日に喉が渇いた時点で、すでに軽度の脱水状態になっていることも。
特に高齢者や子どもは、喉の渇きを自覚しにくく重症化しやすい傾向があります。
■ 食中毒リスクの急上昇
気温30℃を超えると、細菌の増殖速度は爆発的に上がります。
35℃を超える日は、常温放置したお弁当や総菜が数時間で腐敗・汚染されるリスクがあり、腹痛・嘔吐・下痢の原因に。
第2章|35℃以上の日に“やってはいけない”健康習慣10選
1|【朝の「コーヒーだけ」で出勤】
朝、忙しいからといって「コーヒーだけで外出」はNGです。
カフェインには利尿作用があり、体内の水分を排出してしまいます。さらに朝は脱水状態になりやすいため、コーヒーだけでは余計に体調を崩しやすくなります。
▷代わりにやるべきこと
・起床後すぐに常温の水をコップ1杯
・食事が取れない場合は、塩入りのスープやフルーツなどの軽食を
2|【水筒の中身がお茶オンリー】
緑茶やウーロン茶なども利尿作用が強く、水分補給には不向きです。
水筒にこれらのお茶しか入れていないと、知らずに脱水を加速させる危険があります。
▷代替案
・スポーツドリンク(糖分ありすぎる場合は2倍に薄める)
・経口補水液や麦茶+塩飴を併用するのもおすすめ
3|【「とりあえず外で走る」運動習慣】
朝ラン・昼ランがルーティンの人でも、35℃超の猛暑日は中止または屋内に切り替えが賢明です。
特に湿度が高い日は体内の熱が抜けず、熱中症リスクが爆増します。
▷代替策
・日の出前の30分ウォーキングなどに切り替える
・エアコンの効いた室内でストレッチやヨガ、HIITなど
4|【冷房を我慢して節電】
「もったいないから冷房をつけない」「電気代が高くなるから我慢」は命に関わるレベルの誤解です。
高齢者が特にこの誤解に陥りやすく、重症化するケースが多数報告されています。
▷正しい冷房の使い方
・室温28℃以下+湿度60%以下を目安に
・扇風機やサーキュレーターと併用して空気を循環させる
5|【熱い風呂に長時間つかる】
「暑い日こそ汗をかいてスッキリ」は一見良さそうですが、実際は逆効果。
体温を上げすぎると血圧が急変し、のぼせや失神を招く危険があります。
▷代替案
・ぬるめのシャワー(38℃前後)で短時間入浴
・炭酸入浴剤や冷却シートなどで体温調節をサポート
6|【冷房の風を直で浴びながら寝る】
寝ている間に冷風を受け続けると、自律神経のバランスが崩れ、体調を崩しやすくなります。
翌朝のだるさや頭痛、肩こりの原因にもなります。
▷対策
・風向きを上にする or 壁に当てて間接的に風を流す
・タイマー機能を活用して冷えすぎ防止
7|【冷たい食べ物・飲み物ばかり摂る】
アイス、冷やし中華、そうめん、かき氷…
涼を求める気持ちは分かりますが、冷たいものの摂りすぎは内臓を冷やし、消化不良や下痢、倦怠感の原因になります。
▷代替案
・温かい汁物(味噌汁、スープ)を1日1回取り入れる
・冷たい食事のあとに白湯や温かいお茶でリセット
8|【常温で食べ物を放置している】
作り置きのおかずやお弁当を「室内だから大丈夫」と常温放置すると、菌が増殖しやすいです。
夏場の食中毒の大半は家庭内での保管ミスとも言われています。
▷対策
・保冷バッグ・保冷剤を活用
・朝作ったお弁当は4時間以内に食べるのが理想
9|【「汗をかかない=水分不要」だと思っている】
「エアコンの中にいるし、そんなに汗をかいてないから大丈夫」
──実はこれ、かなり危険な勘違いです。
気づかないうちに呼吸や皮膚からも水分は蒸発しています。
▷対策
・1時間にコップ1杯(200ml)の水をこまめに補給
・水分だけでなく塩分・ミネラルも忘れずに
10|【夜更かしをして睡眠を削る】
高温多湿の夜は、睡眠の質が低下しやすく、体力の回復が追いつきません。
夜更かしが続くと自律神経の働きが乱れ、体調を崩しやすくなります。
▷対策
・エアコン+除湿機能で快眠環境を作る
・照明を早めに落とし、22〜23時には就寝を目指す
第3章|“やっておきたい”猛暑日の健康習慣5選
◎ 1|朝イチに水+塩分を補給する
→ 経口補水液・梅干し+味噌汁などが効果的。
◎ 2|部屋の温湿度を“数値”でチェック
→ 体感温度に頼らず、温湿度計を使って管理。
◎ 3|3食しっかり、特に朝を重視
→ 朝食抜きは夏バテや脱水を加速させる。
◎ 4|帽子・日傘・冷却グッズを活用
→ 外出時は首筋・脇などを冷やすアイテムを。
◎ 5|「疲れているかも」のサインを無視しない
→ 軽いめまい・頭痛・だるさは要注意信号。
おわりに|“当たり前”を見直すことが、命を守る
猛暑の中でも日常を続けなければならない私たちにとって、
「いつも通り」は危険な判断につながることがあります。
とくに35℃を超える日は、体にかかる負荷が想像以上です。
あなたや家族、大切な人の体調を守るために、今一度見直してみてください。
「やってはいけない習慣」は、ちょっとした気づきで変えられます。
今日の暑さが、“無事に乗り越えられる1日”になりますように。

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