血圧のすべてがわかる!低血圧・高血圧・乱高下・肺高血圧症を整える生活習慣と食べ物ガイド

生活習慣

第1章:そもそも血圧とは?仕組みと測定の基本

血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことです。一般的には、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の2つの値で表されます。収縮期血圧は心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力で、拡張期血圧は心臓が拡張して血液を受け入れているときの圧力です。

日本高血圧学会の基準によると、正常な血圧は上が120mmHg未満、下が80mmHg未満です。測定する際は、朝と夜の2回、静かな環境でリラックスした状態で行うことが望ましいとされています。家庭用血圧計を使うことで、毎日の変化を把握しやすくなります。

白衣高血圧(病院で測ると高く出る)や仮面高血圧(家庭では高いが病院では正常)などもあり、1回の測定だけでは判断できないため、継続的な記録が重要です。


第2章:高血圧とは?放っておくとどうなる?

高血圧とは、血圧が慢性的に正常値を超えている状態で、生活習慣病の一つとされています。上が140mmHg以上、下が90mmHg以上が高血圧とされます。

高血圧の怖いところは、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、放置しておくと脳卒中、心筋梗塞、腎不全など重篤な合併症を引き起こすリスクが高まる点です。”サイレントキラー”とも呼ばれる所以です。

原因は多岐にわたりますが、以下が主な要因です:

  • 塩分の過剰摂取
  • 肥満
  • ストレス
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 遺伝的要因

高血圧には本態性高血圧(二次的原因が不明)と、二次性高血圧(腎疾患や内分泌疾患が原因)の2種類があり、後者の場合は原因疾患の治療が必要です。


第3章:低血圧とは?意外とつらい症状と原因

低血圧とは、一般的に上が100mmHg未満、または下が60mmHg未満の状態を指します。高血圧に比べて軽視されがちですが、日常生活に支障をきたすことも多い状態です。

主な症状には以下が挙げられます:

  • 朝起きられない
  • めまい・ふらつき
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 動悸

特に若い女性ややせ型の人に多く、体質的な要素も影響します。低血圧には本態性低血圧(原因不明)、起立性低血圧(立ち上がったときに急激に血圧が下がる)などがあります。

原因としては、自律神経の乱れや貧血、心疾患、栄養不良、過度の水分・塩分制限などが考えられます。


第4章:乱高下型血圧(血圧変動症)の怖さ

乱高下型血圧とは、1日のうちに血圧が大きく変動する状態を指します。例えば、朝は高いが夜は極端に低い、あるいは日中にストレスや環境の変化で大きく揺れるなどのパターンがあります。

血圧の変動が激しいと、血管に大きな負担がかかり、動脈硬化が進行しやすくなります。特に高齢者では脳卒中のリスクが高まります。

主な要因には以下があります:

  • 気温差(冬の寒暖差など)
  • 強いストレスや感情の起伏
  • 睡眠不足や過眠
  • 過剰なカフェインやアルコール摂取
  • 不規則な食事や服薬

このタイプの人は、自律神経の調整を意識した生活が鍵となります。


第5章:肺高血圧症とは?特殊な血圧異常

肺高血圧症とは、肺動脈に異常に高い圧力がかかる病気で、心臓の右室にも大きな負担を与えます。通常の血圧とは異なるメカニズムで発症し、重篤化すると心不全に至ることもあります。

主な症状は:

  • 息切れ
  • 胸の痛み
  • 倦怠感
  • 動悸
  • 失神

原因は、先天性心疾患、膠原病、慢性肺疾患、門脈圧亢進症など多岐にわたります。検査には心エコーや心臓カテーテルなど専門的な診断が必要です。

治療には、血管拡張薬や抗凝固薬、利尿薬、酸素療法などが用いられ、専門施設での管理が必要となることが多いです。


第6章:血圧を安定させる生活習慣

日々の生活習慣が血圧を大きく左右します。以下のポイントを押さえることで、血圧を安定させることができます。

1. 朝のルーティンを整える

  • 朝起きてすぐに日光を浴びる
  • 水を一杯飲んで体を目覚めさせる
  • 軽いストレッチや深呼吸を行う

2. 適度な運動を習慣に

  • ウォーキング、ヨガ、スイミングなどの有酸素運動が効果的
  • 毎日20〜30分を目安に継続

3. 入浴で副交感神経を刺激

  • ぬるめ(38〜40℃)の湯に15分程度浸かる
  • 寝る1〜2時間前がベストタイミング

4. 睡眠の質を高める

  • 寝る直前のスマホ・カフェインを避ける
  • 就寝前の読書や音楽でリラックス

5. ストレスマネジメント

  • 瞑想、呼吸法、趣味時間を積極的に
  • 話せる人とのコミュニケーションも大事

第7章:血圧にやさしい食べ物と控えたい食べ物

高血圧対策におすすめの栄養素と食材

  • カリウム:余分なナトリウムを排出(バナナ、ほうれん草、アボカド)
  • マグネシウム:血管を拡張(豆類、海藻、ナッツ)
  • カルシウム:心臓の収縮を安定(小魚、乳製品、ブロッコリー)
  • DASH食:野菜、果物、低脂肪乳製品、ナッツを重視した食事法

低血圧対策におすすめの食材と習慣

  • タンパク質:肉・魚・卵・豆製品
  • 鉄分:レバー、赤身肉、ひじき、プルーン
  • 塩分・水分補給:塩分も必要量摂取、水は1日1.5〜2L

控えたい食品

  • 加工食品、インスタント食品(高ナトリウム)
  • アルコールの過剰摂取
  • カフェインの過剰摂取(特に低血圧)

第8章:血圧の薬を使うかどうか?医師と相談する基準

薬を使うかどうかの判断は、血圧の値だけでなく、年齢、合併症の有無、家族歴などを総合的に考慮します。

主な降圧薬の種類

  • ARB・ACE阻害薬:血管を拡張
  • Ca拮抗薬:血管を広げる
  • 利尿剤:余分な水分と塩分を排出
  • β遮断薬:心拍数を抑える

いずれの薬も自己判断で中止したり、量を調整してはいけません。医師との相談のもと、生活習慣の改善とセットで進めることが理想です。


第9章:気になる症状別セルフチェックと対策

  • 朝起きたときに頭が重い・だるい → 高血圧かも?
  • 立ち上がるとふらつく → 起立性低血圧の可能性
  • ストレスを感じると動悸や血圧上昇 → 血圧変動型の傾向
  • 階段で息切れが激しい → 肺高血圧症の疑いも

症状が持続する、または急激に悪化する場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。


まとめ:血圧を知ることは、未来の健康を守る第一歩

血圧は日々変動し、気づかぬうちに体に大きな負担を与えています。高くても低くても、放置してはいけません。食生活、運動、睡眠、ストレスマネジメント——どれも特別なことではなく、毎日の選択の積み重ねが血圧を整えるカギになります。

定期的な測定と、自分の体の声に耳を傾けること。そして「ちょっとした不調」を見逃さず、生活習慣を整えることが、健康寿命を伸ばす第一歩です。

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