― 食事だけでは埋まらない栄養の穴をどう埋めるか ―
第1章 はじめに|「健康を意識しているのに足りていない」現実
「毎日野菜を食べているし、加工食品も控えている。運動もしているのに、なぜか体調が優れない」
そんな声を健康志向の方からよく耳にします。
実は、健康的な生活を送っていても栄養が不足することは珍しくありません。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査(2022年)」によれば、日本人の多くはエネルギー摂取量は十分でも、特定の栄養素が推奨量に達していない傾向が見られます。特に不足が目立つのは以下の栄養素です。
- 鉄分(特に女性)
- カルシウム
- ビタミンD
- 食物繊維
- オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
原因はさまざまですが、現代の食生活や生活環境では**「バランスよく食べる」だけでは埋まらない栄養の穴**が存在します。
そこで役立つのがサプリメントです。
サプリは本来「食事の補助」を目的としており、医薬品のように即効性や治療効果を期待するものではありません。
正しい知識と選び方を押さえれば、足りない栄養素を効率よく補い、健康維持に大きく貢献してくれます。
第2章 なぜ栄養不足が起きるのか
2-1. 現代の食生活の変化
- 加工食品依存
コンビニや外食は便利ですが、調理や保存の過程でビタミン・ミネラルが失われやすく、さらに添加物や塩分過多の傾向があります。 - 栄養価の低下
農業の効率化によって野菜や果物は育ちやすくなりましたが、その一方で土壌のミネラルバランスが変化し、栄養価が減少しているとの報告もあります。 - 調理による損失
ビタミンCは熱に弱く、加熱や長時間の水さらしで失われます。
2-2. 年齢・性別による必要量の違い
- 女性は月経や妊娠・授乳で鉄分や葉酸が不足しやすい
- 高齢者は胃酸分泌の低下でビタミンB12の吸収が悪くなる
- アスリートや肉体労働者はエネルギーとともにミネラル消費も増える
2-3. ストレス・生活習慣
慢性的なストレスは、体内のビタミンCやマグネシウムを大量に消耗します。
さらに睡眠不足や不規則な生活はホルモンバランスを乱し、栄養素の利用効率を下げてしまいます。
第3章 不足しやすい栄養素とサプリでの補い方
3-1. 鉄分
- 不足症状:疲労感、息切れ、集中力低下、爪の変形、顔色の悪さ
- 食事例:赤身肉、レバー、あさり、大豆製品、ほうれん草
- サプリ選び:
- ヘム鉄は吸収率が高く胃への負担が少ない
- ビタミンCと一緒に摂ると吸収率UP
- 鉄サプリは便秘や胃もたれの副作用が出やすいので少量から開始
3-2. ビタミンD
- 不足症状:骨密度低下、免疫低下、うつ傾向
- 食事例:鮭、サンマ、いわし、しいたけ、舞茸
- サプリ選び:
- ビタミンD3(コレカルシフェロール)型が推奨
- 脂溶性なので食後に摂取
- 冬や室内生活が多い人は特に意識
3-3. オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)
- 不足症状:血流悪化、炎症、脳機能低下
- 食事例:サバ、イワシ、アジ、アマニ油、チアシード
- サプリ選び:
- 酸化防止加工済み
- 魚油由来はトリグリセリド型(TG型)が吸収率◎
- 植物由来(ALA)は体内変換率が低め
3-4. マグネシウム
- 不足症状:筋肉のけいれん、不眠、便秘、偏頭痛
- 食事例:アーモンド、くるみ、ひじき、大豆、玄米
- サプリ選び:
- 酸化マグネシウム(便秘改善向け)
- クエン酸マグネシウム(吸収率重視)
3-5. ビタミンB群
- 不足症状:口内炎、肌荒れ、疲労感、代謝低下
- 食事例:豚肉、卵、納豆、玄米
- サプリ選び:
- B1・B6・B12を含むコンプレックス
- 水溶性なのでこまめな摂取が理想
3-6. 亜鉛
- 不足症状:味覚障害、免疫低下、脱毛、肌荒れ
- 食事例:牡蠣、牛肉、カシューナッツ、カボチャの種
- サプリ選び:
- グルコン酸亜鉛やピコリン酸亜鉛
- 鉄やカルシウムとの同時摂取で吸収阻害の可能性あり
3-7. プロバイオティクス
- 不足症状:便秘、下痢、肌荒れ、免疫低下
- 食事例:ヨーグルト、納豆、キムチ、ぬか漬け
- サプリ選び:
- 菌株の記載(例:LGG菌、ビフィズス菌BB-12)
- 生菌・死菌の特徴を理解して選ぶ
第4章 サプリの正しい選び方
- 含有量の確認
推奨量を大きく上回る製品は過剰摂取リスクも。 - 吸収率を重視
ミネラルはキレート加工、脂溶性ビタミンはオイルカプセルが望ましい。 - 添加物やアレルゲンの有無
特にアレルギー体質の人は要注意。 - 第三者機関認証
GMP、ISO、NSFなど安全性を確認できるマーク。 - 続けられる価格帯
短期集中ではなく、長期継続が前提。
第5章 サプリを使う前にやるべきこと
- 1週間の食事記録をつけて不足を可視化
- 血液検査や健康診断結果を確認
- 医師・管理栄養士の意見を取り入れる
- 一度に多種サプリを始めない(体調変化の原因が特定できなくなる)
第6章 サプリと薬の相互作用・注意点
- 抗凝固薬 × ビタミンK → 薬効低下
- 抗がん剤治療中 × 高用量抗酸化サプリ → 治療効果に影響
- 妊娠中 × ビタミンA過剰 → 胎児への影響
- 腎疾患の人 × マグネシウム → 高マグネシウム血症のリスク
第7章 実践モデル|1日のサプリプラン例
オフィスワーカー女性(30代)例)
- 朝:マルチビタミン+オメガ3
- 昼:食事からタンパク質・鉄分
- 夜:マグネシウム+プロバイオティクス
中高年男性(50代)例)
- 朝:ビタミンD+オメガ3
- 昼:食事+亜鉛(牡蠣など)
- 夜:マグネシウム+プロバイオティクス
まとめ
サプリは万能薬ではありませんが、不足しがちな栄養素を効率的に補える強力なツールです。
正しい知識を持って選び、適量を守り、生活習慣全体と組み合わせることで、健康資産を底上げできます。

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