脱毛症とは?
脱毛症とは、毛髪が抜けてその数が少なくなる状態、または毛髪が細く短くなりボリュームが低下する状態を指します。主な脱毛症には、男性型脱毛症(AGA)、女性型脱毛症(FAGA)、円形脱毛症などがあります。それぞれの脱毛症には異なる特徴や原因があり、適切な治療を行うことで症状の進行を抑えたり改善したりすることが可能です。
本記事では、脱毛症の種類や原因、治療法について詳しく解説します。
1. 男性型脱毛症(AGA)
特徴と症状
男性型脱毛症(AGA)は、加齢とともに進行する脱毛症であり、毛周期において成長期が短縮されることが特徴です。この影響により、毛髪が細く短くなり、最終的には毛包が小型化してしまいます。
AGAの症状は、主に以下のようなパターンで現れます。
- 前頭部の生え際の後退
- 頭頂部の薄毛進行
- M字型・O字型の脱毛パターン
AGAは遺伝的要因が強く影響し、特に家族に同様の脱毛症の人がいる場合は発症リスクが高くなります。
発症のしくみ
男性ホルモンであるテストステロンが、毛乳頭の細胞に存在する「5αリダクターゼ」という酵素によって「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。このDHTが毛包に作用し、毛の成長を抑制することで成長期が短縮し、結果的に薄毛が進行していきます。
治療法
AGAの治療には、以下の方法が用いられます。
1. 内服薬
- フィナステリド(プロペシア)
- デュタステリド(ザガーロ)
これらの薬は、DHTの生成を抑制し、毛髪の成長期を延ばす効果があります。
2. 外用薬
- ミノキシジル(リアップなど)
ミノキシジルは血流を促進し、毛包に栄養を届けることで発毛を促進します。
3. その他の治療
- 植毛
- LED・レーザー治療
- PRP療法(血小板を利用した再生治療)
2. 女性型脱毛症(FAGA)
特徴と症状
女性型脱毛症(FAGA)は、男性型とは異なり、全体的に毛髪が薄くなるのが特徴です。特に、頭頂部や側頭部の毛髪のボリュームが低下し、分け目が目立つようになります。
発症のしくみ
FAGAの発症メカニズムは完全には解明されていませんが、加齢やホルモンバランスの変化が関与していると考えられています。閉経後のエストロゲン低下により、毛髪の成長期が短縮することが影響している可能性があります。
治療法
FAGAの治療には、主に以下の方法が用いられます。
- ミノキシジル外用薬
- ホルモン療法(低用量ピル、スピロノラクトンなど)
- 栄養療法(鉄分、亜鉛、ビオチンなどの補給)
- 育毛メソセラピー(成長因子注入療法)
3. 円形脱毛症
特徴と原因
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種であり、免疫系が毛包を攻撃することで発症します。ストレスが発症のきっかけとなることもありますが、はっきりした原因がわからないケースも多くあります。
症状と経過
円形脱毛症の症状は、以下のようなパターンで現れます。
- 円形または楕円形の脱毛斑
- 短期間での急速な進行
- 重症例では全頭脱毛(全頭型)、全身脱毛(汎発型)
治療法
円形脱毛症の治療には、免疫抑制作用のある薬剤が用いられます。
- ステロイド外用薬・注射・点滴
- 局所免疫療法(SADBEやDPCPを使用)
- 紫外線療法(PUVA療法)
- JAK阻害薬(バリシチニブなど)
4. 脱毛症の予防とセルフケア
脱毛症の進行を防ぐために、以下のような生活習慣を取り入れることが重要です。
1. 食生活の改善
- タンパク質(魚、肉、大豆製品)
- ビタミンB群(ナッツ、卵、レバー)
- 鉄分(ほうれん草、レバー)
- 亜鉛(牡蠣、ナッツ類)
2. 頭皮ケア
- 低刺激のシャンプーを使用
- 頭皮マッサージで血流を促進
- 過度なヘアセットやカラーリングを控える
3. ストレス管理
- 適度な運動(ヨガ、ウォーキング)
- 十分な睡眠を確保
- リラックスできる趣味を持つ
まとめ
脱毛症は、早期に適切な治療を行うことで進行を遅らせたり、改善したりすることが可能です。AGAやFAGAの治療では、内服薬や外用薬が効果的であり、円形脱毛症では免疫療法が中心となります。
また、食生活やストレス管理など、日常生活でのセルフケアも重要なポイントです。気になる症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

コメント